「副業所得20万円の壁」と「住民税で会社にバレる仕組み」については、これまでの記事で整理しました。この記事では、実際に確定申告が必要になったときに「何を準備して、どう進めればいいのか」を手順として整理します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使ったスマホ申告を前提にします。
まず、何のために申告するのかを確認する
副業の所得(収入から必要経費を引いた金額)が年間20万円を超える場合、給与所得者でも所得税の確定申告が必要です(詳しくは「副業20万円の壁、AI収入は「雑所得」か「事業所得」か」を参照)。20万円以下でも、住民税の申告は別途必要になる点は変わりません。
必要な書類を揃える
申告前に、次のものを手元に用意しておきます。
- 本業(会社員としての給与)の源泉徴収票
- 副業の年間売上(収入)がわかる書類:ASPの支払明細、クラウドソーシングサービスの報酬明細など
- 副業の必要経費がわかる書類:領収書、レシート、クレジットカードの明細など
- マイナンバーカード(電子申告に使用)
- 銀行口座情報(還付を受ける場合)
必要経費として認められるのは、その副業の収入を得るために直接必要だった支出です。たとえば記事作成のための書籍代、ツールの利用料、通信費のうち副業に使った分などが該当します。何が経費にできるかの線引きに迷う場合は、税務署や税理士に確認するのが確実です。
マイナンバーカード方式が事実上の標準になっている
これまではマイナンバーカードを使わない「ID・パスワード方式」でもスマホ申告ができましたが、2025年10月以降はこの方式の新規発行が停止されています。これから初めて電子申告をする場合は、マイナンバーカードを使う「マイナンバーカード方式」が前提になります。カードの署名用電子証明書・利用者証明用電子証明書それぞれの暗証番号が必要なので、事前に確認しておいてください。暗証番号を忘れている場合、再設定は市区町村の窓口での手続きが必要で、郵送では対応できません。余裕を持って準備することをおすすめします。
対応するスマホ機種(NFC対応のAndroid端末、対応するiPhone)であることも事前に確認しておくとスムーズです。
申告の流れ(スマホ・e-Tax)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にスマホでアクセスし、次の流れで進めます。
- マイナポータル連携:ふるさと納税や医療費控除など、連携できる項目があれば先に連携しておくと、該当箇所が自動入力されます(副業の申告だけなら必須ではありません)。
- 申告内容の質問に回答:給与所得がある、雑所得(副業)がある、といった質問に順番に答えていきます。
- 収入・所得金額の入力:本業の源泉徴収票は撮影して自動入力できる場合があります。副業分は、集計した年間の売上と必要経費を自分で入力します。
- 控除情報の入力:社会保険料控除、生命保険料控除など、該当するものを入力します。
- 住民税の納付方法を選択:ここで、副業分の住民税を「自分で納付(普通徴収)」にするかどうかを選べます。給与形式の副業は2026年度から選べなくなった点、業務委託・雑所得形式の副業は引き続き選べる点については「副業は住民税でバレる、はもう半分しか正しくない」で詳しく解説しています。
- 計算結果の確認・本人情報の入力
- マイナンバーカードで電子署名し、送信
副業の所得申告だけであれば、準備が整っていれば30〜60分程度が目安です。
迷いやすいポイント
雑所得で生じた損失は、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できません。副業が赤字になった年でも、その赤字を使って本業の税金を減らすことはできない、という点は誤解しやすいので注意してください。
また、前々年の副業(業務に係る雑所得)の収入が1,000万円を超える場合は、収支内訳書などの追加書類の添付が必要になります。sukimaplusで扱うような規模の副業では通常関係ありませんが、念のため触れておきます。
まとめ
副業の確定申告は、書類さえ揃えておけばスマホから1時間程度で完了できる作業です。ポイントは、事前にマイナンバーカードの暗証番号を確認しておくこと、副業の収入・経費を年間通じて記録しておくこと、住民税の納付方法を意識して選ぶことの3つです。申告期限が近づいてから慌てないよう、年内のうちに一度、必要書類の有無だけでも確認しておくことをおすすめします。