副業を育てていく過程では、収入が増えるにつれて、義務や手続きが段階的に増えていきます。ここでは、これまで「お金の基礎知識」で扱ってきた内容を、収入が増えていく順番に沿って整理し直します。個々の制度の詳細は各記事にゆずり、この記事では「どのタイミングで何が変わるか」の全体像を押さえます。
ステップ1:年間20万円を超えたら、確定申告が必要になる
副業の所得(収入から必要経費を引いた金額)が年間20万円を超えると、会社員でも所得税の確定申告が必要になります。20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。詳しくは「副業20万円の壁、AI収入は「雑所得」か「事業所得」か」で扱っています。
ステップ2:住民税の通知経路を意識する
副業所得が発生すると、住民税の徴収方法(特別徴収・普通徴収)が関わってきます。2026年度からは、副業がアルバイトなど「給与」形式の場合は普通徴収を選べなくなりましたが、クラウドワークスやココナラのような業務委託・雑所得形式の副業は、引き続き普通徴収を選択できます。詳しくは「副業は住民税でバレる、はもう半分しか正しくない」を参照してください。
ステップ3:経費の記録・按分を意識する
副業の規模が大きくなるほど、通信費やツール代などの経費計上額も増えていきます。生活費との境目があいまいな支出は、家事按分の考え方に沿って合理的な根拠を持って按分することが必要です。白色申告でも記帳・領収書の保存義務がある点も押さえておきたいポイントです。詳しくは「副業の経費、どこまで認められる?」で扱っています。
ステップ4:取引先が法人中心になってきたら、インボイス登録を検討する
副業の取引先が個人向けから法人向けへとシフトしてきた場合、インボイス制度への登録を検討する段階に入ります。登録の判断基準は収入額ではなく取引先の種類です。2026年9月30日で2割特例が終了し、10月以降は3割特例(納税額が売上消費税額の30%)に切り替わる点も踏まえて判断する必要があります。詳しくは「インボイス制度、副業は登録すべきか」を参照してください。
会社員本人にはあまり関係しない「106万・130万の壁」
副業関連の情報でよく見かける「106万円の壁」「130万円の壁」は、健康保険の被扶養者(扶養に入っている配偶者や家族)が、自分自身の社会保険に加入する必要が出てくるかどうかの基準です。これは、すでに勤務先の社会保険に本人として加入している会社員自身の副業には、直接は関係しません。
ただし、配偶者が扶養に入りながら副業をしている場合には関係してきます。130万円の壁(被扶養者としての年間収入の見込み額の基準)は雑所得を含む収入全体で判定されるため、配偶者の副業収入が積み上がってきた場合は注意が必要です。また106万円の壁(勤務先の従業員数などの条件と組み合わさる基準)は、2025年の年金制度改正により賃金要件そのものが撤廃される見込みで、2026年10月以降は所定労働時間・雇用期間などの条件だけで判定される方向に変わっていきます。ご自身、あるいはご家族が扶養に入りながら副業をしている場合は、このタイミングで一度確認しておくとよいでしょう。
まとめ
副業の収入が増えるにつれて、確定申告(20万円)→ 住民税の徴収方法 → 経費の記録・按分 → インボイス登録の検討、という順番で意識すべきことが段階的に増えていきます。106万・130万の壁は会社員本人の副業には直接関係しませんが、扶養に入っている家族が副業をしている場合は別途注意が必要です。次回は、副業収入が本業を超えるくらいまで育ってきたときに、何を考えればいいのかを整理します。